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執筆者の写真呉式太極拳 順展会

第94回 体の重さを知る



 太極拳の熟練はゆるみ・調和の方向へ進んでいく。その本格的な練習は自身の「体の重さを知る」ことから始まる。

 

 筋肉の緊張、関節のつまり、骨格のゆがみが過剰なうちは、体の本当の重さは分からない。全身の筋肉がゆるみの調和をして、関節のつまり、骨格のゆがみが解消されてくると、体の重さが次第に分かるようになる。より正確に言えば、自身の骨格の重さを感じられるようになる。

 

 日常我々は骨格を筋肉の力で動かしている。ちょうどいい力加減で筋肉を使うことができればいいが、力の出し過ぎが頻繁に起こる。残念ながらそれが原因で体を痛めたり、疲労が過度に蓄積することが少なくない。

 

 太極拳では筋肉の力を過不足のない、ちょうどいい加減のレベルに整えていく。いい加減とは、いわゆるゆるんだ状態。そのとき筋肉は骨格のサポート役となる。このように筋肉が「従」、骨格が「主」の状態になれば、意識せずとも骨格の重さが自然に伝わってくる。そうなれば体の重さ(=骨格の重さ)をとてつもなく重いと感じるはずだ。その重さを外へ流出させず、全てを内で受けとめられるようになれば、そこから本格的なゆるみと柔らかさの練習が始まる。それは日常の「体の当たり前の状態」から太極拳の「体の当たり前でない状態」への変化の始まりであり、その転換点に「体(骨格)の重さを知る」という感覚が訪れて来る。

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