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執筆者の写真呉式太極拳 順展会

第44回 日に新たに日々に新たに


あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

年あらたまり1年の計をアップデートされた方も多いと想うが、

この時期に私が必ず行うのは、前年を体でふり返ること。

太極拳を含め武道の達成は、

「回数を増やす」「時間を縮める」「距離を伸ばす」など

数値化して目標設定することが本質的に難しい。

1年間練習した結果の出口がどこへ行くのか、

1年前の入口時点ではなかなか予測できないのが武道の奥深いところ。

角度を変えれば、練習の仕方次第で自分が思いもよらないところへ出る大いなる可能性を秘めているのが武道の魅力で、

その醍醐味は、定規の目盛りでは計れないところへ分け入って行くことにある。

2016年をふり返ると、私の一年は骨と向き合うことに終始した年であった。

 ◯骨の位置をどこにとるか

 ◯骨をどのように並べるか

 ◯どの骨を動かし、どの骨を止めるか

これら3点をどうすべきかを、

太極拳の型で徹底的に感じ、考えた。

事前にテーマ設定したわけではないが、

「全身の調和」という要領を徹底的に守りながら型を繰り返すなかで、

内なる意識と感覚が自然と骨へと向かい、

結果として1年間こだわりのテーマとなった。

ともかく、1日や1週間という短い時間枠では分からない、感じられないことも、

1年というまとまった時間の光をあてることで深層にある本質が浮かび上がってくる。

現時点での立ち位置から稽古の来し方をできるだけ具体的に遠望し、

その正しさを確かめ、

今後に資するには、

やる気エネルギーが自ずと最も充実する新年のはじめ、つまり「今」が好機である。

伝統太極拳には先達より伝承された型(套路)がある。

型の順番はいつ誰が行っても全く同じで、変わるところがない。

しかし正しく行う型には同じことの繰り返しのなかに、

今までにない新しい感覚・意識との出会いがあり、

さらに続けることでそれらが少しずつ熟成・洗練されて行く。

型のなかでの新しいものとの出会いと成長が型ある者の幸せだとつくづく思うが、

来年の「今」どんな幸せにめぐり会っているか今から楽しみである。


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