連日リオでオリンピックの熱戦が繰り広げられている。
あらゆる競技において選手が最大の目標とする世界の最高舞台、
どの競技を観ても本当に引きこまれる。
個人の記録を競うもの以上に、
私がとりわけ興味をひかれたのは対戦競技。
なかでも勝敗のかかった接戦は、
見ごたえがあり、多くのことを考えさせられた。
7人制ラグビー、体操男子、柔道男子・女子、テニスの錦織選手、卓球男子・女子など、
日本代表選手も接戦の好ゲームを戦い、
その勇姿により大きな感動と力を日本のファンに与えてくれている。
接戦において私が注目したのは、
1. 技量未満の凡ミスをしなかったかどうか
2. 決められるところで確実に決められたかどうか
ということ。
勝敗のかかった接戦こそ、上の2つが勝負の分かれ目となる。
技量が相手にいくら勝っていても、
それとは別の力学が働くのが大勝負の接戦である。
その力学の潤滑油は不動かつ柔軟なメンタルにあると思う。
技術以前の勝負において、
熱くなり過ぎたり、勝ちを早ったり、我慢するところで我慢できなかったりといった
メンタルの隙を埋めた選手に勝利の女神はほほ笑んでくれたのではないだろうか。
レスリング59kg級銀メダリストの太田忍選手が、
「世界で一番練習した人が、世界で一番になれる」と印象的なコメントを述べたが、
あえてそれに蛇足を加えれば、
世界で最も丁寧に基本に取り組んだ選手が、
柔らかい安定したメンタルを身につけ、
接戦で取りこぼしの少ない勝負をすることができる。
上級者は平凡なことに非凡なものを見る。
基本に奥妙があるという武術の鉄則もそいうことなのではないだろうか。
そこには技法だけでなく必ず心法が含まれる。
オリンピックもすでに後半戦。
これからの好試合に期待したい。